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5. 水蛇

 昨夜、浜辺で遺体が発見された。
 死後一日と経っていないソレは、若い女が一人と男が二人。
 死因は絞殺による窒息死とみられているが、妙な点があった。
 まるで、海で溺れたかのように大量の海水を飲んでいた事、
 それから、首を締めた凶器が断定できない。
 強いて言えば、蛇に巻き付かれたかのような跡が残っていて、
 蛇皮のベルトか何かだと警察は推測したようだったが、
 女の遺体には蛇の鱗が付着していたらしい。
 何にしろ、気味が悪い殺人事件だった。
 おかげで海岸は、すっかり立ち入り禁止になってしまった。
「亡くなった人、サーファーの人達だったね」
「うん。でも…」
「どうかしたの?」
 亜紀さんが榮が考え込んでいるのを不思議に思ったのか、様子を覗う。
 榮の脳裏に、あの小さな祠が浮かんだ。
「蛇…なんて、考え過ぎかな?」
 すると、そこに碧泉が現れた。
「そんな事は無い。お前にしては鋭いな。アレは『水蛇』の仕業だ」
「碧泉、やっぱりそうなの?」
 巽が悲しそうに訊く。碧泉は巽を優しく抱きしめると、こう言った。
「神とは、それを信じ、敬う者が居てこそ…
 忘れられ、疎まれれば、ソレはもはや神ではなく…」
「『忌霊』…です。『神楽居』の言葉で言うと、『怨霊』の上に当たる存在…」
 気が付くと、紺陽もその場に居た。
「このままでは危険です。貴方たちは『忌霊』と、『水蛇』と関わりを持った…」
 紺陽の言葉には『闘う意志』が感じられた。
 本来、おとなしい性格の紺陽だが、主に危害が及ぶ時、
 その忠誠心はそのまま闘争心に変わる。
 こう見えても唯一、実体を持つ鬼なのだ。
「よし、そうと決まれば対策を考えよう!」
「まずは、神の正体を暴く事だ。まぁ、お手並みを拝見しようか…」
 碧泉は風のようにその場から消えた。
 巽の為に行動しているのは明らかだった。
 紺陽は、佳那に教えなければならないことがあった。
 佳那は、『神楽居』を知らない。
 つまり、闘い方も知らないという事だ。
 せめて、身を守る術を教える必要がある。
 榮は、仕方なく島の公民館にある郷土資料から祠の主・水蛇を調べる事にした。
 勿論、一人ではない。
 小学生にそんなものが調べられる筈も無い。
 瑞葵くんを引っ張っていった。

はじまりの夏・6へ続く。